相続土地国庫帰属制度とは?要件や流れを解説!管理の悩みから解放されよう
相続土地国庫帰属制度とは?要件や流れを解説!管理の悩みから解放されよう
土地を相続したものの「遠くに住んでいて管理するのが大変」「利用する予定がない」と感じていませんか?そんなとき、知っておきたいのが「相続土地国庫帰属制度」です。
この記事では、相続土地国庫帰属制度の要件や流れについて分かりやすく解説していきます。土地を相続したけれどもどう扱えばいいか分からない方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
相続土地国庫帰属制度とは?
「相続土地国庫帰属制度」とは、相続や遺贈によって手に入れた土地を国に引き渡せる制度です。土地を利用する予定がない、または適切に管理できない人には助かる制度です。詳しい要件や手続きについては後ほど解説するため、まずは基本情報を確認しましょう。
土地を国に引き渡せる制度
相続した土地は「自分で住む」「賃貸に出す」「売却する」などの選択肢がありますが、エリアや土地の状態によっては活用が難しいケースも存在します。そんな時は国への帰属(引き渡すこと)を検討しましょう。
相続土地国庫帰属制度の対象は、宅地や田畑・森林など。特にご自身は都心に住んでいて、田舎の実家・土地を引き継いだ場合におすすめです。「親が亡くなって土地を相続したけれど、活用できないままコストばかりかかっている…」という状況は、できるだけ早く終わらせたいですよね。この制度を利用すると、土地の管理に関わる経済的・精神的な負担から解放されますよ。
相続土地国庫帰属制度が始まった背景
日本国内で「所有者不明土地」が深刻な問題となっています。相続人が活用・売却しない、登記もしない、そんな土地が増えているのです。
放置された土地は荒れていき、草木が伸びっぱなしとなります。徐々に害虫が増え、悪臭が発生するでしょう。近隣住民が嫌悪感を抱いても、誰にクレームを言えばいいのかすら分かりません。国としても、公共事業や再開発に向けて土地を取得したくても話が進まないのがネックです。
相続土地国庫帰属制度は、そんな所有者不明土地問題に対処するためのひとつの解決策として創設されました。不要な土地を国に引き渡せるようになり、所有者が分からない土地の発生を防いでいるのです。
相続土地国庫帰属制度を利用するには?
では実際に相続土地国庫帰属制度を利用するにはどうしたらいいのでしょうか。利用できる人・土地や流れを確認していきましょう。
利用できるのは相続人
相続土地国庫帰属制度を利用できるのは、相続や遺贈によって土地の所有権を得た相続人です。この制度は2023(令和5年)年4月27日にスタートしましたが、開始前に相続した土地についても適用されます。過去に相続した土地の扱いに困っている場合も、ぜひ利用を検討してみてください。
一方、相続土地国庫帰属制度を利用できないのは、生前贈与を受けた人や売買によって土地を取得した人・法人です。不動産会社への売却など、他の方法で土地を手放せないか考えてみましょう。
利用できない土地もある
国庫帰属制度はどんな土地でも対象になる訳ではなく、国に引き渡せない土地もあります。
例えば以下のようなケースは申請しても却下・不承認となります。
- 建物がある
- 担保権や使用収益権が設定されている
- 他人の利用が予定されている
- 土壌汚染がある
- 境界が明確でない(所有権や範囲に争いがある)
- 管理・処分に高額な費用がかかる(急な勾配、地中に廃棄物が埋まっているなど)
国庫帰属制度を検討しているなら、まずは土地の状態を確認し、法務局へ相談するとよいでしょう。
審査手数料・土地管理費用がかかる
相続土地国庫帰属制度を利用するには費用が発生します。
まず、申請時には1筆の土地につき1万4000円の審査手数料が必要です。さらに、土地を国に引き渡すことが承認された場合、土地に応じて算出された10年分の土地管理費相当額を支払う必要があります。基本的には1筆の土地につき20万円です。
具体的な金額は法務局へ確認してください。
手続きの流れ
相続土地国庫帰属制度を利用する流れは以下の通りです。
- 法務局へ相談する(対面または電話)
- 申請書類(承認申請書・図面・印鑑証明書など)を提出する
- 負担金(審査手数料・土地管理費相当額)を納付する
法務局へ相談する際は、事前に法務省ホームページから相続土地国庫帰属相談票・チェックシートをダウンロードしましょう。他に、登記事項証明書や登記簿謄本、土地全体を示す写真などを用意しておくとスムーズです。
相談先は法務局や地方法務局(本局)の窓口です。事前予約制で、1回の相談につき30分間です。予約は法務局手続案内予約サービスから行ってください。
まとめ
相続土地国庫帰属制度は、不要な土地を効率的に手放せる制度です。土地の管理にかかる経済的・精神的な負担を軽減できるのがメリットです。相続した土地についてどのように対処すべきか悩んでいる方にとっては、ひとつの選択肢になるでしょう。
しかし、利用するためには一定の要件を満たす必要があり、手続きには費用と時間がかかります。活用できる可能性のある土地なら、売却や管理を検討してみてはいかがでしょうか。
私たち和光不動産は福岡県福津市・古賀市・宗像市で仲介売却や買取・管理を行っています。土地の利用計画や将来のビジョンについて、ぜひご相談ください。